恋の訪れ
休み時間になる度に真理子からはずっと髪の事を言われ、正直言ってウンザリする。
そして昼休み、食堂へ向かう途中、目の前にヒロくんを見かけるものの、女の子達と話してるヒロくんに思わず肩を落としてしまった。
ヒロくんは人気だから女の子が近寄って来るのも分かる。
だけどその光景を見るとなんだか切なくなる。
「きっと弘晃、告られてるね」
隣に居る真理子は面白そうに笑う。
「そう言う雰囲気じゃないと思うけど」
ニコニコ楽しそうに笑っている女の子達。
どうみても告白タイムとは思えない。
だけどあんな楽しそうに笑ってるヒロくんを見ると心が痛い。
別に彼氏なんかじゃないけどさ。
だけどちょっとでも女の子達から視線を逸らせようと思い、
「ヒロくんっ、」
名前を呼んでみたものの、ヒロくんは振り向こうともしない。
「あら、ヤダ。莉音、振られちゃってる」
クスクス笑う真理子に顔を顰め、あたしはもう一度ヒロ君を呼んだ。
「ヒロくんっ、」
「うん?」
あたしの声が届いたのか、一瞬振り返ったのに、また女の子達に視線を向ける。
だけど、もう一度咄嗟に振り返ったヒロくんは目をここぞとばかりに見開いてた。