恋の訪れ

「おーい莉音。お前、男とデートかよ」

「ち、違うでしょ、どう見ても!絡まれてたの!」

「え、そうなのかよ」

「あたし腕引っ張られてたでしょ?」

「散歩かと思った」

「だから違うでしょ!!」

「つかお前、染めたのかよ、髪」


ジロジロ見つめて来る弟は目を細めて見て来る。


「そうなの」

「ふーん…つか丁度良かった。来てほしんだけど」

「え、どこ?」

「今な、俺困ってんだよ」

「どうしたの?」

「面倒くせー女がよ、彼女連れて来いって言ってんだけど俺いねーんだわ」

「へー…大変だね」

「だから!莉音、お前が来んだよ」

「あー…って、えぇっ!?あたし?」

「そう」

「なんで?」

「だから言っただろ、彼女居るって言ったら連れて来いって。その女が俺には居ないって」

「えー、ヤダよ」


もう、なんなのこの弟。

昴先輩も大概だけど、この弟も悪魔だわ。

あたしを彼女役にさせようなんて、信じらんない。


しかもあたしの事、呼び捨てだし。

あたし一応年上なんだけど。


「頼むから。じゃ、何か買ってやるから。何がいい?」

「えー…どうしよう」

「あ、ほら。ケーキ、ケーキだろ。この前、美咲と食ってたじゃん」


どうやら弟も美咲さんの事を呼び捨てで呼ぶらしい。
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