恋の訪れ
その挙句。
「ここで言うなよ」
なんて聖くんはシレっとしているけど、未だ眩暈が止まらないのは、このあたしだ。
兄も兄なら、弟も弟だって感じ。
頭が朦朧とする中、昴先輩の顔が浮かぶ。
″一回寝たくらいで何で付き合わなきゃいけねーんだよ″
リピートされるように繰り返される言葉。
ヤバい…貧血だ。
「ちょ、そっちに居るから」
軽く頭を抱えながら、その場から離れる。
2人から少し遠ざかった所で、呼吸を整えてると、
「すげー疲れた」
暫くして顔を顰めた聖君が首に巻かれていたネクタイを緩めため息を吐き捨てた。
「あ、あのさ…あの子と寝ちゃったの?」
「しつけーから」
「えぇっ、付き合ってもないのに?」
「つか別に普通じゃん」
「いや、普通じゃないと思うけど」
「つかケーキ買いに行くぞ」
「う、うん…」
スタスタと歩いていく聖くんの後を追う。
やっぱこの兄弟、おかしいって。
でも背もほんと高いし、顏も男前。
それだけは、認める。
認めたくないけど、認めちゃう…