恋の訪れ
「お前、どれ食うの?」
物凄い可愛いケーキ屋さんに入って、ショーケースを見つめるあたしに聖くんは言う。
「うーん…っと。ってか、高っ!!」
値段のプレートに視線を向けると、その金額に眩暈が起きそうだった。
えっ、待って。
ケーキって普通いくらだっけ?
真理子たちと一緒に食べてるケーキの倍じゃん。
なんなの、この洋菓子店。
思わず、店内を見渡してると、
「おい莉音、早くして。恥ずかしいだろ」
なんて聖くんのため息交じりの声が聞こえる。
ま、そりゃそうだ。
何処を見ても女の人達ばかりで、そんな所に男一人居るんだから。
だけど、若い女の子達はケーキを見てるのか聖くんを見てるのか分かんない状態だった。
「ねぇ、いいの?凄く高いよ?」
だって、一番安くても700円なんだから。
しかも一つ。しかもしかもショートケーキは850円もする。
「うん。いいから」
「じゃあショートケーキ1個でいいよ」
「1個買うなんて余計に恥ずいわ。4個っつったから4個でいいじゃねーかよ」
聖くんは居てもたっても居られなくなったのか、適当にケーキを選んで買ってくれた。
しかもケーキだけで3000円超え。