恋の訪れ
「ね、香澄さん繋がりイケメンでしょ?タツキ除いて」
隣に座る真理子は耳打ちするようにこっそりと話す。
別に興味はないって感じで見つめる先に居る男達―――…
それはまさしくカッコいい人達の勢ぞろいだった。
茶髪だか金だかチャラっちいけど、ここまでこうもカッコいい人達は居ない。
よくもまぁ、香澄先輩は揃えたもんだ。と、思って香澄先輩を感心してしまった。
恐るべし、香澄先輩。
でも、ふと思った。
一人足りない。あたしの前の席がポッカリ空いていて、男は4人しかいない。
こっちはちゃんと5人居るのに、男は居ない。
「ちょ、ちょっと真理子」
既に始まっている他愛ない会話に笑っている真理子は、「うん?」と言ってあたしに視線を向ける。
「一人いないじゃん。だったらあたしいらなくない?」
「何言ってんのよ、今から一番の上玉が来んだから!」
「え?上玉?」
「そうだよ。超、カッコいいよ。莉音知らないの?うちの学校の先輩だよ。超人気あんの」
「へー…でも別にいい――…」
「ねぇ、莉音ちゃんだっけ?」
こそこそ話してる声を遮ったのは斜め前の男の存在。
あたしと同じ学校の制服を着た男はもちろん知らない存在で――…