恋の訪れ

「派手ねぇ…たしかに一部居るけどね。昴とかサクヤの好きな人は結構いるからね」

「なんであたしばっかり睨まれるのか分かんないよ…」

「うん、だからそれはね莉音が可愛いからムカつくんじゃない?」

「もう、香澄先輩までそんな事、言わないでよ」

「いや、だってさ莉音の事、可愛いって言ってる男いるよ」

「あ、そうだわ。タツキも莉音の事、可愛いって言ってたし!だからこの前、莉音の事で喧嘩になったんだから!!」

「えぇっ!?」


思い出したかの様に顔を顰める真理子に訳の分からない焦りが出る。

なんであたしが居ない所でそんな事になってんのよ…


「タツキねぇ…」


なんて香澄先輩は小さく呟き、微かに笑う。


「莉音さぁ…髪染めてから急激に可愛くなったんだよねぇ…あたしが男だったら襲っちゃうかも」


いきなりギュっと抱きしめられる感覚に身体が後ろに倒れ込む。


「ちょ、真理子っ、」


エヘヘと笑う真理子は身体を起し、そんな真理子にあたしはため息を吐き捨てた。


「あたし思うんだけどさ昴の気になる人って莉音だと思うんだよね」


急に口を開いた香澄先輩に「あたしもそう思うー」なんてハイテンションの真理子の声が部屋に響く。


「えぇっ、何言ってんの?」


顔を引きつりながら声を出すあたしに二人の笑みは止まらなかった。
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