恋の訪れ
「分かった分かった。俺の学校の奴ら」
そっか。タツキ先輩も香澄先輩と同じ学校なんだよね…
「やっぱそうなんだ。この前、莉音言ってたから。あたしと同じ学校の人に睨まれたって。大体予想つくから明日出向かってくる」
「つか、香澄はいいから。俺が行く」
スッと入り込んだ昴先輩の声に、閉じてた目が微かに開いた。
昴先輩が行ってどうするの?
もう、これ以上揉め事増やしたくないし、もう全てなかった事にしたい。
そして、もうこのままみんなと係わんない。
「あたしも行かないと気持ち落ちつかないの。むしろ、同じ学校だし。ねぇ、香恋さんはどうします?」
「あたしが行ってもねぇ…莉音の姉が出しゃばってもね。だって、元はと言えば昴でしょ。って言うか、タツキ?真理子ちゃん連れて帰ってあげて。もうダメだわこの子。泣きじゃくって、ここに居れる状態じゃないから」
「あ、あぁ…真理子、帰るぞ」
「だって莉音がっ、」
「もう後は任しときゃいいから。お前まで倒れたら俺、困んだけど」
「莉音っ、」
「タツキ、真理子ちゃんよろしくね」
「あぁ」
真理子の泣きじゃくる声が聞こえなくなったと、部屋が一瞬にして静まり返る。
いつもなら何で真理子泣いてんの?真理子らしくないって、言ってやるのに、それさえも言えなかった。
目を真っ赤にしてあたしの為に泣いてる真理子に何も言えなかった。
いつもの″莉音って馬鹿だね″そう笑いながら言う真理子とは全く違ってた。
だから、いつもみたいに″馬鹿だね″って言ってくれる方がよっぽどいいよ。