恋の訪れ

月曜から入院してて気づけば金曜日。

検査の結果は悪くはないけど、精神的なストレスやらで微熱が出て退院すらまだ出来ずに居た。

そろそろ病院と言う空間に、疲れが溜まり、微熱はこの所為なんかじゃないかって思ってしまうほどだった。


昼を過ぎた午後1時。

気分転換に外の空気を吸おうと思って出向かった屋上。


12月の肌寒い空気が頬を掠め、肩から掛けていたストールをギュっと抱えた。

フェンスに頭をくっつけて地上を見下ろす。


早く、外歩きたいな。なんて思った時、


「…莉音?」


不意に聞こえた背後からの声に顔を向けた。


「昴先輩?」

「探したじゃねーかよ」


先輩はあたしの隣に来ると背をフェンスに預け、空を仰いだ。


「ちょっと外の空気吸いたくて。…先輩、学校は?」


制服姿だけど、今はまだ学校の時間。

真理子が来てないって言ってた日から行ってるんだろうか、なんて思ってしまった。


「行ったけど、帰って来た」

「えー…帰って来たんですか?」

「あぁ。莉音の顔見に来た。放課後来たらアイツら来るだろーなって思ったし、うっとおしいだろ」

「うっとおしいって」


クスクス笑うあたしに先輩までも、表情を緩め口角を上げた。
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