恋の訪れ

予定通り3枚終わらせてその日は帰った。

相当疲れた所為か、帰って横になってたら、いつの間にか寝落ちしてしまってた。


次の日、真理子にヒロくんの事を聞かれたけど、特に何も言えなかった。

普通だったって…


だからなのか、「今日の莉音は変な子」とまでも言われてしまった。

何が変なのか分からないけど、真理子は不思議そうに首を傾げてあたしを見てた。


その日の放課後もヒロくんが教えてくれた。

今日はいいよ。って言ったけど、ヒロくんは教えてくれた。

そこがヒロくんの優しいところだって知ってる。


昴先輩だったら、″あっそ″って言って帰っちゃうのにって…


「…なぁ、莉音?」


教室を出て少し歩いた所でヒロくんの声で立ち止まる。


「なに?」


振り返ってヒロくんを見つめると、ヒロくんも同じようにあたしを見つめた。


「どうしたの?ヒロくん…」

「…俺さ、」


なのにヒロくんはそこまで言って口を開く事もなく、あたしを身構える。


「え、なに?」


半分笑って問うあたしは誰かが階段から降りて来た気配を感じ、視線を向けた瞬間、


「え、ちょ、ヒロくんっ、」


急に抱きつかれたヒロくんに頭の中が真っ白になった。

それどころか、さっき階段を駆け下りて行ったのは…



昴先輩だったから。







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