恋の訪れ
「もう香澄さん、強制的じゃないですか」
「そうでもしなきゃ、文句ばかり聞くのも嫌でしょ?ねぇ、真理子?下のフロア空いてんのかな?」
「休憩場所だったら空いてると思う」
「じゃ、下に行こう。あたし5時からバイトだし」
「あ、そっか。じゃ莉音、行くよ」
コクリと頷き、喫茶店のお店へと入る。
物凄く込んでて、忙しそうにする真理子のママに軽く頷くと、笑顔で手を振ってくれた。
それほど広くない休憩所。
だけど2つのテーブルがあって両方に4人づつは座れる。
そこに座って、サクヤ先輩が現れたのは一時間後だった。
「サクヤ遅いって」
香澄先輩の声が飛ぶ。
サクヤ先輩は凄い眠そうな表情でため息を吐いた。
「つか何?みんな揃って」
香澄先輩の隣に座り、あたし達を不思議そうに見つめる。
「あのさ、昴って何してんの?」
「え、昴?知らねーよ」
「嘘だぁ。知らないはずないでしょ…」
「だからマジ知らねーって」
「あんなに学校来てなかったのに?普通知りたくなるでしょ?」
「ならねーよ。俺の女でもねーのに。つか、なに?」
「莉音がね、会いたくて泣いちゃったの…」
「えっ!?ちょ、香澄先輩、あたしそんなっ、」
思わず声を出してしまった。
それにつられて「そうなのー…」なんて言う真理子の頬を膨らます。