恋の訪れ

「あー…なるほどね」


なるほどって、なに?

なんて思いながらサクヤ先輩を見つめ眉を寄せる。


「だから昴の居場所教えてよ。知ってるでしょ?何処で、何してるの?」

「……」

「ねぇ、サクヤ。このままだと莉音死んじゃうよ?」

「えっ、あたし死なないですけど…」

「でも、死にそうな顔してんじゃん。ここに来た時からずーっとね。もしくは…退院してからずっとね」

「そうなんです、サクヤ先輩!莉音の為にもお願い」


真理子までそう言って、顏の前で両手を合わせる。

そんな香澄先輩と真理子に、サクヤ先輩は深いため息を吐きだした。


「つーか俺、殺されんだけど」

「誰に?」

「昴に」

「サクヤが殺されるのと莉音が死ぬの、どっちが悲しいわけ?」

「はぁ?何言ってんの、お前」


サクヤ先輩が香澄先輩を軽く睨むと、またサクヤ先輩は深いため息を吐いて小さく呟いた。


「…学校行ってる」

「学校?昴、補習でもしてんの?」

「ちげーよ、もう一つの学校と言うか塾と言うか、そんな感じ」

「「え、えぇっ、」」


タイミングが合ったかのように香澄先輩と真理子の声が重なる。

もう一つの学校って何?


わけ分かんない。

どー言うこと?




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