恋の訪れ
出た瞬間、壁に両手をつけて俯くと同時に湧きあがってきたため息を深く吐き捨てる。
何が楽しいんだか分かんないこの合コンとやらに苦痛さを感じる。
カッコいいのは確かだが、あたしには向いてない。
いくらカッコよくてもあたしの頭の中はヒロ君しか居ない。
少し落ち着いた所でトイレに向かい、出て来てすぐに壁に背をつけた。
このまま帰れるのならば帰りたい。
でも鞄すら持ってなくて、その中には携帯が入ってる。
いくらなんでも携帯が入ってる限り、置いて帰る事なんて出来なくて、帰る手段に思いっきり頭を悩ませてしまった。
部屋に入っちゃうと、また苦痛の時間を味わってしまう。
慣れない所為か、身体がこれ以上もたないような気がした。
かれこれ2時間近くはあの部屋に居る。
もうさすがにいいだろうって、そう思ってるとダルそうに部屋から出て来た――…
昴先輩を目で捕らえてしまった。