恋の訪れ

「もしかして、お前。俺がヤるとでも思った?」


真正面から覗き込まれた昴先輩に、「そんな訳ないでしょ」素っ気なく返して視線を逸らす。

そんな、ヤるとか言わないでよ。

絶対に今日は眠れない。


「ところでお前、葵ちゃんに言った?帰んないって」

「毎年、クリスマスはね、真理子んちで泊まるから。そう思ってる」

「あー…なるほど」

「真理子、何してんだろう。いつもあたしと居るからさ」

「どんな心配してんの、お前。…そこまでガキじゃねーだろ」

「だって…」

「どーせタツキとセックスしてんだろ」

「ちょ、な、なに!?」


慌てて腕をベッドにつき、身体を軽く起こす。

その行動にビックリしたのか昴先輩は少し眉間に皺を寄せた。


「え、俺、何か言ったか?」

「なんでそー言う事言うの?」

「何でって、真理子ちゃんってさ好きそうじゃね?」

「…はい?なにが?」

「セックス」

「ちょ、やめてよ!口に出さないで!」

「つか、なんなの、お前…」

「なんなのって、先輩こそなんなの?もうやめてよ!」


ちょっと声を上げて、あたしは先輩に背を向けてシーツを引っ張り上げる。

聞きなれないその言葉に、思わず顔全体にシーツを被った。
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