恋の訪れ
「ごめんなさい。あたしの所為で…なんで先輩はそこまでするの?」
「なんでって、莉音が好きだから」
「…っ、」
「って言っても初めはそんな感情なかったけど。ただ治してやればそれでいいって思ってたから。特に卒業してもやりたい事も何もねーし丁度いいっかなって感じだったし」
「……」
「だけど莉音を初めて学校で見て、お前が倒れるたびに気になったっつーか…」
「……」
「お前、知らねーだろ。入学当初、可愛い女が居るって騒がれてたの。それで俺もツレに連れられて行ったら″莉音″って呼ばれてるし」
「……」
「もう最悪…お前かよって思って。そっからサクヤ調子に乗り出したし」
「そんな事言われても…」
「って言うか、寒い」
再びあたしの身体を抱きしめてきた先輩に「服着てないからでしょ?」そう言って先輩の肌に触れ再び口を開く。
「冷たいよ?」
「だったら莉音が温めろよ」
「やだよ」
「やだとか言うなよ」
「ねぇ、先輩。あたしは先輩に何が出来る?先輩の役にたちたい」
「だから俺を温めろって。寒い」
「服着たら?」
「じゃ莉音が着てるやつ脱いで?取りに行くの面倒だし」
「え、何言ってんの?あたしが寒いんだけど」
「そーなったら俺が温めてやる」
そして先輩の手が左頬に触れ、
「必ず治してやるから」
あたしの左耳に先輩の手が落ちた。