恋の訪れ
「やだー莉音。顔赤い。熱でもあんの?」
「違うよ!真理子が変な事言うからでしょ?」
「別に変な事言ってないけど。で、どうだった?」
「どうって?」
「だから昴先輩とエッチした感想」
「ちょ、真理子ってば!」
バンっと机を叩くとニヤニヤしてた真理子の顔が一瞬にして戻る。
あたしが机を叩いた所為でビックリしたからであって、真理子は再び顔に笑みを作った。
「あのね。サクヤ先輩が言ってたの。昴先輩は上手だって」
「えぇっ。ってかそんな事サクヤ先輩が分かんないじゃん」
「それがね、色んな女がそう言ってたんだって。物凄く上手だって」
「……」
あー、もう聞きたくない。
ほんとに聞きたくない。
なんで他の女の人と抱き合ってる所を想像しなくちゃならないんだろう。
「あ、ごめんね莉音。つい…」
真理子はあたしの表情に気づいたのか、眉を潜めた。
「別に…」
「いやん、莉音。…って事はしたんだ、先輩と」
「……」
「はぁ…いいな。あの学校の上玉とするなんて」
「…真理子、もう帰ってもいい?」
真理子の浮かれようにウンザリしてしまったあたしはため息を吐きながらそう口にする。
「ごめん、ごめん。もう言わないから。でも付き合えて良かったね」
「…え?」
「あれ?付き合ってるんでしょ?」
そういや、あたしと昴先輩って付き合ってるんだろうか。
そんな話、一言もしてない。
不思議そうに覗き込んでくる真理子に視線を合わせ、呆然としてしまった。