恋の訪れ
「莉音ちゃん、激しいね。こんな所で昴に抱きつくなんて」
「え、違う。真理子が…」
「でも真理子ちゃん居ないし」
「だからさっきまで」
「もうさ、我慢出来ないんだったら図書室でヤってくれば?」
「え、えぇっ!サ、サクヤ先輩っ、」
声を上げたあたしにサクヤ先輩がクスクス笑いだす。
「おい、サクヤ。こいつで遊ぶのやめろって」
グッと昴先輩に引かれたあたしの腕。
その所為で数歩足が前に進む。
未だケラケラ笑ってるサクヤ先輩に、「じゃーな」昴先輩の少し不機嫌な声が落ちた。
「昴先輩っ、」
昴先輩に腕を掴まれたまま、進んで行く足。
「もうサクヤの奴、お前虐めるの好きだから適当にあしらっとけよ」
「でも…って言うかね。サクヤ先輩だけじゃなくて真理子も、お姉ちゃんもなの」
「なんて言われてんの?」
「うーん…今日はどうだった…とか。したの…とか」
「ヤッたんだからうん。つっとけよ」
「えー…、そもそも先輩はあたしと…付き合ってるんですか?」
「は?」
やっと言ってしまったと思えば、昴先輩の素っ気ない言葉が落ちて来る。
足を止め見下ろす様に、顔を顰めた先輩は、次のあたしの言葉を待つようにジッと見つめてきた。