恋の訪れ

「でもさー、サクヤ先輩が言ってたけど。昴先輩って超、頭いいんだって。学年トップ?みたいな」

「えっ!?」


思わず声を上げて目を見開くあたしに、真理子はキョトンとしてあたしを見つめ返す。


「あれ?莉音、知らなかったの?」

「知らないよ、そんなの。トップって…」

「特進クラスでトップって相当だよねー」

「せ、先輩って特進だったの?」

「うっそー!莉音、知らなかったの?」

「うん…」


またなんだか眩暈が起きそうだった。


「でも向こうの学校のほうがレベル高いから、こっちではずっと寝てるって言ってたよ?」

「特進なのに?」

「そうみたいだよ。…ってか向こうの学校って物凄いレベル高いんだよ?知ってた?」

「知らない。しかも特進よりレベル高いって…」

「莉音って、ほんと何も知らないんだね。国際医療だからヤバいよ。偏差値80近くないと無理みたいだし」

「うーん…どれくらいか分かんない」

「だから莉音が偏差値20って言えば分かる?」

「えっ!?あたしそんな低いの?」

「そらそうでしょ。莉音、大丈夫なわけ?英語、ちょっとはマシなの?」

「うん…去年はね20点もアップしてたの」

「20点アップしても50点に達してないじゃん。それにもうすぐテストだし」


自身満々で言ったつもりなのに真理子から厳しいお言葉の所為で、思わず俯く。


「…言わないで、真理子」

「もう昴先輩がなんだか可哀そうになってきたよ…」

「……」

「きっと莉音は学年で後ろから数えた方が早いんじゃない?」

「……」


なんて、正論の言葉を言う真理子に、何も言えなかった。

もう心が折れそう…
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