恋の訪れ

その日はもう本当にショックと衝撃的が混ざり合ってた。

真理子に散々な言われようをした挙句、昴先輩がもの凄く頭がいいって事を知ったから。


いや、確かに英語は凄いって思ってた。

だけどそれは英語だけじゃなかったらしい。


だから、あたしの点数なんて二度と教えないって思った。


「莉音、おかえりー」


ソファーでくつろぐお姉ちゃんは、携帯を片手にあたしを見上げる。


「…ただいま」

「あれー?元気ないじゃん。昴と喧嘩したの?」


クスクス笑うお姉ちゃんは、もうあたしに対してその言葉しかないんだろうか。

何かと昴先輩の名前を出す。


「してないけど」

「ふーん…」

「ねぇ、お姉ちゃんの大学って頭いいの?」

「え、なに?アンタ行こうとしてんの?あんたには無理だから」


キッパリと告げられた言葉に思わず眉を寄せる。


「違う。聞いただけ」

「まぁ、コースによって違うけど。あー…でもあれだね、美咲さんが教えてる所は一番レベル高いから簡単には入れないけど」

「そうなの?」

「なんか国際化コースだからね。超、頭いいよ、あそこは」

「美咲さんって、凄い人なんだ…。ねぇ、お姉ちゃんってさ、美咲さんの授業受けた事あんの?」

「ない。ついて行けないから。一度覗いてみたけど、スピードが速くて無理だった。しかもいっさい日本語使わないし」

「えっ!?なにそれ!」

「だから昴も凄いんだよねー…中学一年の時にすでに英検1級とってたらしいし」

「え、」


やばすぎる。

そこまで昴先輩が凄い人だとは知らなかった。

昴先輩の英語で話してる所、聞いた事ないけど、香澄先輩が言ってたもんな。


カッコよかったって。

だから香澄先輩も勉強してたっけ。
< 347 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop