恋の訪れ
「ママから聞いたんだけどさ。翔さんって、若い時ホストだったんだって」
「えぇっ、ホ、ホスト!?」
あまりにもビックリしすぎた所為か、手が震えて飲もうとしてたレモンティーが零れる。
「ちょっと、なにしてんのよ、アンタ」
「だって、ビックリしたから」
お姉ちゃんは眉を潜めて、近くにあるティッシュをあたしに差し出した。
「でさ、それがずーっとNO1を維持してたんだって。ヤバくない?」
「それホントなの?」
「だってママが言ってたもん。今の翔さん見てると分かるけど、超、男前だって。絶頂期の頃の翔さん見たかったなー…」
「みんなで写ってる写真あるよね?」
「違うわよ、実物よ、実物。もっと若い頃のね。絶対あたし惚れるわ」
なんで、こんなにお姉ちゃんは惚気ているんだろうと思う。
確かに昴先輩のパパは今でも男前。
あー…そっか。
「ママが言ってたけどさ、お姉ちゃんってパパより翔さんって人の方が好きだったんでしょ?」
「そうだったのかなー…翔くん翔くんってずっと言ってたんだって。ウケるよね、あたし」
お姉ちゃんはケラケラ笑う。
「パパよりベッタリしてたんでしょ?」
「うん、なんとなく記憶はあるけど。常に抱っこしてもらってた」
「ねぇ?翔さんって人と、お茶してたの?」
「あー、偶然会ったから喫茶店に入ってたの」
「って言うか、喫茶店に入ってまでどんな話するの?」
「うーん…色々?キャバの事とか、将来の事とか?」
「ふーん…」
「ママには彼氏かと思ったって言われるし、偶然会った友達には同伴出勤とかダンディーな愛人って言われたけどね」
「すごいね、それ…」
苦笑いで口を開くお姉ちゃんに、同じように苦笑いで返す。