恋の訪れ
「ほんとに買ってくれるの?」
「あぁ。だから来いよ」
「うん」
またケーキに乗っかってしまったあたし。
でも、またあの高級ケーキが食べれると思ったら、勉強なんて楽勝だと思った。
そんなケーキにウキウキしながら、次の日、昴先輩の家に行ったのに…
「ねぇ、もう休憩しようよ」
「まだ。ここやったら」
昴先輩はノートにひらすら英文を並べていく。
もう、そのノートも一冊終わりそうな勢いだった。
「昴先輩って、ほんとスパルタ…」
「つかまだ一時間もやってねーだろ」
「あたしの中ではもう3時間くらいしてる気がする」
「てか莉音はケーキが食いたいだけだろうが」
「……」
ごもっともな言葉を返された所為で頬が緩む。
そんな表情を見過ごさなかった先輩は、深くため息を吐き捨てた。
「ほら、ここやったら食わせてやるから」
「っていうかさぁ、なんであたしの為にそこまですんの?」
ほんとに、ほんとにそう思う。
一度、まだ昴先輩の事を良く知らない時に教えてもらった時とは違う。
あの時より先輩は何故か必死だった。
こんなに…こんなにノート一冊終わるくらいなんでここまで頑張ってんのか分かんない。
今、全部覚えなくったっても、その都度でいい。