恋の訪れ

2月に入って、再テストで合格したものの、昴先輩から預かった英語のノートは3冊まである。

確かに、色んな資料を見るより、物凄くこの先輩が書いたノートのほうが解りやすい。


だけどあの日から昴先輩は何故か様子がいつもと違ってた。

違うって言うか、いつも会うと上の空で、はっきり言って何考えてるのかも分かんなかった。


卒業まであと少し。


「ねぇ、これ全部持って帰るわけ?」


放課後、使われていない空教室で、昴先輩は机の上に山積みになるほど雑誌を積み上げてた。

サボってた教室に使われていた部屋。

もう、どんだけサボってたんだと思うくらいに色んな雑誌が山積みになっている。


「いるやつだけ」

「ふーん…」


昴先輩は棚に突っ込んでいる本を手に取りながら、確認していく。

そんな昴先輩から視線を逸らし、積み上げられている雑誌を何冊か手にして見つめた。


バイクの雑誌。ファッションの雑誌。車の雑誌。

とにかく、いっぱいありすぎて凄すぎる。


「おーい、莉音。ちょっとこれ持って」


先輩に視線を送ると、高い脚立を跨いで座っているその手には何冊か雑誌が持たれてる。


「うん」


そう言って手を上に伸ばして先輩が抱えていた雑誌を受け取った瞬間、あまりの重さに持つことが出来ず、


「ぎゃっ、」


声とともにバサバサと雑誌が落ちていく。




 
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