恋の訪れ

どれくらいの時間、眠ってたのかなんて分かんなかった。

ゆっくり目を開いていくと、部屋の中は真っ暗で、まだ真夜中なんだと実感する。


寝がえりを打とうとすると、あたしの身体に乗っかった腕が重くのしかかり、思うように身体が動かなかった。

顏を背けて見ると、昴先輩があたしを抱きかかえるようにして眠ってる。


その腕をそっと退けると、あたしは身体を起した。

そのまま一息吐き、先輩を起さないようにとベッドから抜け出す。

物音を立てないようにと、あたしはリビングへと向かった。


電気を点け、時計に視線を向けると深夜3時。

冷蔵庫に向かって、その中からペットボトルの水を口に含むと、あたしはその場で暫く佇んだ。


どうしようと思った。

どうしようって…


ひと眠りしたものの、結果なんてすぐに出るわけがない。

むしろ、この際だから聞かなかった方が良かったって思った。


後で知った方がずっとマシだと思ってしまった。

5年と言う長い間、あたしは待てるんだろうか。

いや、待たないといけないような気がした。


あぁ、もうダメ。

考えてしまうと、また涙が零れてきそう。

キッチンの台に両手を付き、目を瞑って俯く。


こんなに離れる事が辛いと思うほど、好きになってたんだ。

離れたくない気持ちと、昴先輩を困らせたくない気持ちがかち合って、どうしたらいいのかなんて本当に分かんなかった。
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