恋の訪れ
「また電話する」
「うん」
昴先輩が荷物を全部抱えて、ドアを開けた瞬間、
「ぎゃっ、ちょっと勢いよく開けないでよ!」
廊下から物凄い大きなお姉ちゃんの声が反響する。
「うっせーな、ビックリすんだろ」
「それはこっちだっての。危ないでしょ!?」
「つか今帰り?すっげー酒、臭いけど」
「あたしもね、色々と大変なのよ」
「あっそ。別に聞いてねーし」
「あ、あんたねぇ!なんなのよ、ほんとに。ところで莉音と和解したの?」
半分笑ったお姉ちゃんの声が聞こえる。
もぅ、聞かなくていいし。なんて思っていたら、
「いちいち聞くなよ」
昴先輩も同じ事を思ってたらしく、その言葉に思わずおかしくなってしまった。
「あっそ。ってか莉音は学校に行かないの?」
「今日、卒業式だから莉音休み」
「あーなるほどね。昴でも卒業できたんだ。あまり学校行ってなかったのに」
「出来るっつーの。それより香恋さん?」
「なに?」
「性格直した方がいいと思うけど」
「はぁ!?ちょ、ちょと昴!なんなのアンタ!」
「じゃーな、」
「偉そうな事言ってんじゃないわよ!それはアンタも同じでしょ!?覚えときなさいよ!」
お姉ちゃんの剣幕を張る声が飛んでいく。
その声に昴先輩の笑い声までも聞こえた。
もぅ、ほんとに朝から何やってんだか。