恋の訪れ

「ねーねー、莉音?」


お姉ちゃんの声に閉じていた目を開ける。

相変わらずバッチリメイクのその姿に眩しい。


だけど、あたしが言うのもなんだけど、やっぱお姉ちゃんは物凄く美人だ。

昴先輩も美人って言ってたくらいだから。

昴先輩だけじゃなく、聖くんも真理子も香澄先輩もサクヤ先輩も、みんな、みんな美人って言うくらいだからな。


「ねぇ、莉音ってば!」

「うん?」

「ちょっと昴、最近酷くない?」

「うーん…そうかな?」

「違う。あたしにだけだわ。ほんとムカつくんだけど。顔いいだけで何も使えないし」

「え、使えないって…。ってか、お姉ちゃん…ほんとにお酒臭い」


どれだけ飲んだらそんなにお酒の匂いが染みつくの?ってなくらいお酒の匂いがプンプンする。

その匂いに顔を顰めると、お姉ちゃんは深いため息を吐き捨てた。


「今日はちょっと飲みすぎたんだよね…」

「それにしても酔ってないよね?」

「うーん…パパに似たのかも」

「性格が?」

「違うわよ!もうアンタ、昴と長く居すぎておかしくなってんじゃないの?あー、ほんと疲れた。風呂入って寝よ」


立ち上がったお姉ちゃんは深くため息を吐き捨て部屋から出て行く。

その姿を目にしてから、あたしは再び目を閉じた。
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