恋の訪れ

「うん、久しぶりだね。どうしたの?」

「どうしたのって、お前じゃねーのかよ。サクヤ先輩がさ、お前が死にかけって言ってたから気にしてたのに」

「あー…うん、まぁ…」

「ってか莉音の友達っすか?」


聖くんはあたしから真理子に視線を送る。

そんな真理子は目をキラキラさせてもの凄く頬を緩ませた。

その表情からして、何故か呆れのため息が口から漏れた。


「あたし真理子って言います。昴先輩の弟なんですか?」

「そうそう。ってか莉音のツレってみんな美人っすね」


何を言うんだと思い、思わず目が見開いた。

やっぱダメだよ、聖くん、軽すぎだって。


「キャー、そんな事ないからー。聖くんって口うまいね」


ほら真理子、浮かれてんじゃん。

絶対そうなると思ってたし。


「上手くねーけど。だって香恋さんも美人だし、あーあと香澄さんだっけ?あの人も…」

「もー、聖くんこそ男前だよー」

「兄貴よりは落ちっけど…」

「そんな事ないよー物凄くモテるでしょ?」

「いや、そんな事ねーっすけど。ってか真理子ちゃんって、おもろいっすね」

「だってね、こうでもしなくちゃ莉音の友達やってられなくて」

「はぁ!?なにそれっ!?」


思わず真理子の言葉に声を上げて顔を顰めると、何故か聖くんまでも声に出して笑い始める。


「だってね、莉音もうヤバいの。あと少しで、すば――…」

「ちょっと!!」


勢いよく真理子の口を塞いだ。

ほんとやめてよ。しかも聖くんの前でそんな事、言っちゃうの?

昴先輩の弟なんだからやめてよ!



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