恋の訪れ

「あ、莉音ちゃんて、もしかして昴の事スキ?」

「…は?」


突然何を言い出すのやらサクヤ先輩は軽く微笑んで視線を向けてくる。

だから思わず唖然としてしまった。


「いや、だからさ。あぁやって抜け出す子って大概、昴がスキなんだよね」

「はぁ…」

「何もなくてもさ、最後には必ず昴とヤってるから」

「はぁ…って、えぇっ!?」

「あ、やっぱスキなの図星?」

「いえ。スキじゃないですから!」


クスクス笑うサクヤ先輩に不機嫌な顔をして言ったのに、


「へー…珍しいね」


なんて訳の分からない事を言う。


「はぁ…」

「ま、俺的にはいいけどね。俺、暇だから莉音ちゃんの相手いつでもしてあげるから言ってね」


“じゃーね”

昇降口に差し掛かった時、付け加えられた言葉に、ホッとしてしまった。


初めて分かったサクヤ先輩の事。


見た目と同じくチャラい男=危険。

あまり会いたくない。むしろ学校で会いたくない。

周りの視線が気になって仕方がない。


それに比べ、昴先輩は冷たい男=悪魔だ。


なんで、こんな人達と関わりをもっちゃったんだろう。

いや、別に関わりなんて何もない。

これも全部、真理子の所為なんだから!!
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