恋の訪れ
「…とくに、ない」
「ないって、ひとつくらいあんだろ」
「んー…」
「そんな悩むことなのかよ」
「あ、先輩っ。神社に行きたい」
「は?神社?そんなとこ行ってどーすんだよ」
「お願い事するの」
「初詣でしたじゃねーかよ。お前、どんだけ祈るわけ?」
「うーん…でもしたい」
「ま、いいけど」
昴先輩が立ち上がる。
それに釣られてあたしも立ち上がり、部屋を出た瞬間、またお姉ちゃんと出くわしてしまった。
…最悪。
「あれー?エッチしないんだ」
意地悪そうな笑みを浮かべて笑うお姉ちゃんにあたしの眉が寄る。
だけど昴先輩は至って普通で、
「香恋さん居っと激しくできねーからな」
とんでもない言葉を先輩は吐き出した。
「あら、嫌だ。でもそんな激しくなんかしちゃったら莉音きっとついていけないよー。10分ももたないかも」
あはは。と笑うお姉ちゃんにあたしは更に眉を寄せる。
「香恋さん知んねーだろ、こう見えて莉音すげぇ体力あっから」
「えーっ、やだー莉音ったら。昴に教え込まれて――…」
「もー、そう言う話はいいから!昴先輩もお姉ちゃん相手しなくていいから!早く行こっ、」
グッと昴先輩の腕を引っ張る。
進んで行って、階段を降りようとした時、
「あ、つか香恋さん、莉音に何か言おうとした?」
その言葉であたしと昴先輩の足は止まった。