恋の訪れ
「おい、香澄。もうみんな帰るっつってんぞ。つか、何してんだよ」


キッチンに来た昴先輩は、抱き着いてるあたし達を見て、顔を顰める。


「莉音、抱いたらどんな感じなのかなーって思って」

「は?意味分かんねーわ。もう後はそのままでいいから」

「うん、わかったー」


あたしの身体を離すとニコッと笑ってあたしの頭を撫でた。


「おーい!香澄、かえんぞー」


サクヤ先輩の声がこつちに近づいて来たと思うと、ヒョイと先輩の顔が現れる。

そして、あたしの近くまで来ると、サクヤ先輩は不気味に笑った。


「莉音ちゃん、恋しくなったら俺を呼べ。いつでも抱きしめてやるからな」

「いや、いいでー…」

「いやーん。莉音ったら、両手に華じゃん」


あたしの言葉を遮ったのは真理子で。

背後から顔を出した真理子はケラケラ笑って何故か喜んでる。


「はいはい、お前ら帰った帰った」


昴先輩が手で皆んなを追い払う。

あぁ。。

あたしも帰らなきゃ。

そう思ってソファーに置いてる鞄を手に取った時、


「お前はまだ帰んなよ」


昴先輩の手があたしの腕を掴んだ。


「え?」

「俺が送るから莉音は帰んなよ」

「うん、わかった」


皆んなが帰った後、物凄く静まり返ってなんだか寂しくなってしまった。


「楽しかったですね、先輩」

「お前はただ食ってただけだろーが」

「そぉだけどぉ。。」


昴先輩はソファーに腰を下ろして缶コーヒーを口を含む。

そして立ち尽くしてるあたしを見上げた。


「莉音…」


グッと引かれた腕。

必然的にソファーに腰を下すと、昴先輩はあたしをジッと見つめた。
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