恋の訪れ
先輩の部屋に入ってベッドに下ろされる。

そして、また再び昴先輩のキスが始まった。


キスを交わしながらあたしの身体が徐々に倒れこむ。

仰向きになったあたしの上には昴先輩が居て、何度も愛撫して先輩が優しくするもんだから不意に涙が出てしまった。


「…莉音?」

「……」

「痛かったら言って」

「痛くないよ」

「じゃあ、なんで泣いてんの?」

「だって、昴先輩が優しくするからだよっ、」

「……」


だから涙が出る。

優しくされると、

優しくされると、、


「優しくされると離れたくなくなる…」

「ごめん…」

「なんで?何で謝ってんの?」

「莉音だから優しくしたい」

「もぉ。。なんで先輩の事、好きになっちゃったんだろう…」


思わずそんな事を言ってしまって、あたしはまた流れ落ちる涙の瞳を腕で隠した。


「なにそれ」

「好きになってなかったらこんなに泣かなくてよかったのに」

「莉音が俺の事好きじゃなったら、きっと俺が泣くかもな」

「昴先輩が泣くわけないじゃん」

「勝手に決めんな」


そう言って、あたしの腕を振りほどき、再びキスを交わしてくる。

だからあたしはそんな昴先輩に溺れていた。


「…莉音、好き」


そう甘く囁かれる声も、何もかも、忘れたくなかった。


どれくらい時間がたってたのかも分からなかった。

昴先輩と抱き合ったまま時間が過ぎていってた事すら忘れてた。


だから一階からの物音で、あたしの意識が我がに返ってしまった。


「ちょ、先輩っ、美咲さん達帰ってきた」


慌てて身体を起した所為で、あたしの胸が露になる。

だからシーツで胸を隠し、下に散乱してある制服をかき集める。


だけど、昴先輩はそんなあたしを見て、フッと鼻で笑った。
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