恋の訪れ
「あ、なるほどね!1年で男前来たって騒いでる女どもが居たけど、それ聖君だったんだ」


真理子は嬉しそうにそう言って、何故かはしゃいでる。


「さぁー…どうなんすかねぇ?」

「あれは絶対、聖君の事だよ。ところでさ、聖君って、何コースよ?」

「俺っすか?特進っすけど」

「わっ、ほらきたよ特進」

「えぇっ、聖くん特進なの?ほんとに?ほんとのほんと?」


思わずビックリしてしまった。

聖くん、特進に入れるの?

え?ほんとに?

馬鹿そうなのに?


未だに疑ってるあたしに、目の前にしゃがみこんだ聖くんをジッと見つめてしまった。

その所為で聖くんの眉が一瞬寄る。


「おい、莉音。お前いま、俺の事馬鹿にしただろ」

「してないよ」

「俺が特進に入れるわけねーって思っただろうよ」

「思ってないよ」

「いや、思ってんねお前は。お前より確実に俺、頭いいかんな」

「そ、そんな事ないよっ、」


ギャハハ。と再び真理子の笑い声。

そんな真理子は頷きながらあたしの肩をポンポンとたたいた。


「莉音。特進にはかなわないから。ここのレベル高いんだから」

「なんかなー…聖くんには負けたくないよぉ…」

「はぁ?お前、どー言う意味だっ、」

「あーもう、それあたしのパンだよ」


袋に入っていた中身をあさり、聖くんはあたしの焼きそばパンを頬ばっていく。


「俺、腹減ってんだよ。今度さケーキ買ってやるから食わせろよな」

「え?ほんとに?」

「あぁ」

「あ、でも昴先輩にダメって言われてるんだった。聖くんでもダメって言ってた」

「へー…じゃあそれは買えねーな」

「うん、でも大丈夫だと思う」


だって、食べたいし、うん。

自分に言いきかせて頷いてみた。

案の定隣からは真理子のため息が降り注ぐ。


「だから莉音は馬鹿なんだよねー…」


なんて呆れた口調で言って、あたしを見た。

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