恋の訪れ
「まー、でも楽しかったね」
あたしの気持ちも知らず真理子はニコニコ微笑んで昨日のことを語り出す。
だから。
「ねぇ!あれっておかしいよね?」
今度は声を張り上げたあたしに、真理子はビクンと肩を上げ、少し身を引く。
「おかしいって?」
「あれって香澄先輩繋がりでしょ?」
「そうだよ」
「あれ合コンでしょ?」
「そうだよ」
「なんでタツキ先輩も真理子も居るの?そのほうがおかしいじゃん!」
「だってタツキが暇だから行こうぜって言ってきたんだもん。人数もすくねぇしってさ」
「じゃ、あたしいらなくない?」
「居るでしょ?5対5なんだから。でも良かったじゃん、莉音もあの昴先輩と話せたんだから凄いじゃん!あたしだって話した事ないんだよ?タツキの友達だとしても」
ちょっと興奮気味に話した真理子だけど、全然嬉しくもなければ凄くもない。
真理子は知らないだろうけど、あいつ悪魔だよ?
女の子泣かせてたんだから!
ヒロ君だったらそんな事しない。
あの女王がいるヒロ君はあんまり…好きくないけど、やっぱヒロ君はヒロ君で昔から変わらない。
「…――痛ったーいっ、」
不意に走った背中の痛み。
あたしの背中を叩いた真理子は顔を顰めてあたしをジッと見てた。