恋の訪れ

「あんた今、弘晃の事、考えてたでしょ?」


なんて、まるであたしの心を読み取ったようなお言葉に一瞬、目が泳いでしまった。


「考えてない」

「その顔は考えてたね。莉音みてるとすーぐ分かる」

「……」

「だから弘晃は辞めなって言ってんでしょ!!」

「うーん…」

「はぁ…なんで弘晃がいいのかねぇ…。何処がいいのか」


真理子はため息つきながら呆れた表情を見せる。

そんな真理子にあたしは頬を膨らませた。


「だって、優しいしカッコいいし素敵だもん」

「ノロケるのもいい加減にしてよね!あたしからするとサクヤ先輩とか昴先輩のほうが確実に素敵だと思うけどね」

「もー、やめてよ!」


あんな、悪魔と一緒にしないでよ!


そんな事を言ったけど、あたしの頭の中は一日中、昴先輩の事でいっぱいだった。

と、言うかあの後、あたしはどうやって帰ったのか気になって仕方がなかった。


その放課後。


「莉音、ちょっと来て来て」


窓の外を見つめながら、あたしに手招きをする真理子に近づく。


「何?」

「ほら、見てよあれ」


そう言って遠くの方を見つめる真理子と同じ様に運動場を見つめた。
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