恋の訪れ
エピローグ
あれから半年――…
「莉音、おめでとっ、」
ギューッとあたしの身体に抱きついてくる真理子に、なにがなんだか分からずあたしはあたふたしてた。
「え、なに?どうしたの?」
「ごめんっ、あたし勝手に出しちゃったよ」
「なにが?」
「これだよ、こーれっ、」
そう言って真理子は携帯を取り出し、何かの画像を見せてくる。
「え、待って、どー言う事?」
そこに映ってるのは、あたしが描いた絵画。
題名。恋の訪れ――…
今年度、恋アワード大賞作品。
…新田莉音。
「おめでと、莉音っ、」
「え、真理子。勝手に出しちゃったの?」
「うん、ごめん。でもこれは莉音が一番好きな絵でしょ?」
何気なく描いた絵。
忘れたくない、日々の中の一部。
「うん」
「思い出は宝物だよ」
そう言って、もう一度あたしを抱きしめた。