恋の訪れ
「…あ、ヒロくん」
今から帰るであろうヒロくんの隣には女王がベッタリとくっついている。
やっぱ、ヒロ君あの女が好きなんだ…
何で、どうしてなの?
「馬鹿っ!!アンタ、どこ見てんのよ!弘晃じゃないってば!反対だよ、あっち!!」
バチンと叩かれた背中に痛みが走る。
顔を顰めながら逆方向を見つめると、あの悪魔が居た…
「先輩がなに?」
ちょっと不機嫌そうに呟くと、真理子はふーっとため息をつく。
「昴先輩ってさ、あー言うのが好みなんかな」
「さぁーね、どうでもいいし。興味ないよ」
見るからに派手な女。
お姉ちゃんも派手だけど、あの女は性格きつそうって感じ。
あたしは苦手。
「莉音、あの女知ってる?」
「知らない。興味ないし」
「あの女こそ女王よ!」
「は?」
「噂ではさ、昴先輩の事大好きなんだって。昴先輩はあたしのものって感じみたいよ?」
「へー…」
「アンタ、嫌じゃないの?」
「はい?」
思わず声が裏返ってしまった。
ジックリ観賞するかのように真理子は先輩たちを見つめてた。
「昨日の今日なのに、なんで先輩、女なんかとーってならないの?」
「なんでなるの?真理子じゃないんだから…」
そう言って、ゲンナリとした声を吐き出した。