恋の訪れ
「ねぇ、弘晃と昴先輩ってどっちが優しいんだろうね」
「どっちって…そんなの言わなくても分かるよ。ヒロ君だもん」
「あーあ、これだから莉音はダメなのよ」
「って言うかなんか真理子、先輩をあたしに押しつけてない?」
「え、そう?」
なんて、真理子は微笑みながら言う。
「うん、そう」
「だってさ、超イケメンじゃん。莉音が昴先輩とくっつけば、あたしも話せるって事でしょ?」
「あのねぇ…真理子はタツキ先輩がいるじゃん」
「それとこれとは別よ」
「タツキ先輩かわいそー…」
「でもタツキも莉音の事、可愛いって言ってたよ。それと一緒じゃん」
「全然違う気がするけど…って言うか、可愛いなんて言われたくない」
「もーなに言ってんのよ。言われないよりはマシでしょ」
「可愛いより綺麗のほうが断然いいよ。真理子もそうだし香澄先輩もそうだし、お姉ちゃんだって…」
「こーら、こら。可愛いって言うのはね、全てに可愛いんだよ。何してても可愛いのー」
なんて言いながら真理子はあたしの身体をギューっとした。
「あ、ねぇ真理子。あたし整形でもしちゃおうかな」
「はぁ!?」
あまりの声の大きさに耳がキーンとする。
バッとあたしの身体を離した真理子はあたしの顔を覗き込む。