恋の訪れ
「そしたらさ、ヒロ君振り向いてくれるかも」
ニコニコしながら言うあたしとは対照的に真理子は顔を顰める。
「アンタ、何言ってんの?ママとパパが悲しむよー…そんな事したら余計に弘晃もアンタを避けるね」
「そうかな…」
「そうだってば!!そんな事より、あんた頭のほうがヤバイんじゃないの?」
「ひどいっ!頭って、何よ!」
「弘晃の事ばかり考えてるお馬鹿だよ」
「……」
「それに英語のテストはどうするのよ」
「あ…」
今日返してもらった英語のテスト。
なにしろあたしは英語が一番の苦手。
なんで日本人なのに英語を話さなくちゃいけないのかが納得出来ない。
「26点なんてあたしでもとった――…」
「ちょ、真理子っ!」
思わず慌てて真理子の口を塞ぐ。
まだ教室に数人いる人達に聞こえないようにと思いっきり塞いでやった。
でも、前より点数良かったんだよ?なんて言えるわけでもなく…
「うー…ちょ、莉音!!」
あたしの手を振りほどこうと、真理子は眉間に皺を寄せる。
スッと真理子から手を離すとあたしは口に人差し指を立てた。
「真理子、大きな声出さないでよ」
「あー、ごめん、ごめん」
なんてクスクス笑う真理子にため息をついた。