恋の訪れ

「どうしよう…」


ほんとにほんとに…どうしよう。

あまりにも悪い点数で追試までやらされる破目になった。


「今度のテストで70点はとらないといけないんでしょ?」

「うん…」

「70点かー…莉音にはハードルきつすぎるね…」

「キツイってもんじゃないよー、ヤバイよほんとに」

「やばいね」

「追試で70点ってなに?ありえなくない?この学校おかしいよ」

「追試で70はきついよねー…」

「だよね、そう思うよね?40点以下が追試なのになんで追試で70点な訳?意味分かんないよ」

「ま、莉音、頑張れ」

「ねぇ、真理子お願い教えて」


顔の前で両手を合わせる。

なのに。


「無理」


真理子は即効返してきた。


「なんで?真理子、英語得意でしょ?」

「得意な訳ないでしょ!あたしだって嫌いだし教え方なんて分んないわよ。むしろそんな暇ないし」

「暇くらいあるでしょ?」

「ないわね。あったとしても1時間、そんなのでアンタの頭にはいるのか分かんないし」

「真理子って案外酷いね」

「じゃーさ、弘晃に頼みなよ」

「え、ヒロ君?」

「ほらチャンスじゃん。二人仲良くね」

「それは無理。ヒロ君にそんな事言えないよ…」

「だよねー、莉音の点数知っちゃうと弘晃もビックリどころじゃないもんね」

「…真理子、分かってて今言ったでしょ」

「えへへ…」

「最悪」


思いっきり頬を膨らませたあたしの目には薄らと涙が溜まってた。

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