恋の訪れ
午後の授業を終えた後、あたしは昨日の空き教室まで行った。
特に先輩とは約束なんてしてない。
ただ、帰る時にまた明日なって言われたけど、それ以上何も約束なんてしてない。
先輩にとったら、あたしなんていいお荷物で。
逆にあたしが教える側だったら面倒くさくて仕方がない。
暫くして、鞄の中に入ってる携帯が震えだす。
画面を見つめると、そこにはサクヤ先輩の名前が浮かび上がった。
「…はい」
「莉音ちゃん?もう待ってる?」
「はい」
「ちょっと昴遅れるってさ」
「あ、分かりました」
「ところでバーベキューの話し聞いた?」
「あれ、ほんとだったんですね」
「嘘だと思ってた?」
「はい…」
「莉音ちゃんがテスト合格したら行こうね。なんなら俺と二人でもいいけど」
「いや、結構です」
「あはは。ハッキリ断んなよ」
プツリと切った電話に一息吐く。
もう、遅いのなら帰りたい。
今日は物凄く疲れてしまった。
こんな調子で勉強なんか出来る訳ないよ…