恋の訪れ
「別に。寝ちゃうほど来るのが遅かったから」
「だからそれは悪い」
「ねぇ、先輩」
「んだよ、」
「正直言うと、ここで勉強するのって捗らないんですよね」
「文句言うなよ」
「だって、帰りとか遅くなっちゃうし…」
「じゃー、どこでやりゃあいいんだよ」
「そんなの、あたしの家ですよ」
本気で言った訳じゃない。
でも、もし先輩が来たとしたら、お姉ちゃんを見て何て顔をするのかが見たかった。
「…は?」
数秒遅れで返って来る先輩の声。
まさか、あたしとお姉ちゃんが姉妹だって事、知らないでしょ?
お姉ちゃんの苗字を知ってたとしても、あたしはまだ先輩には言ってないから。
「だから、あたしの家ですよ」
「悪いけど俺、魅力ねー女の家には行きたくねーの」
「はっ!?どー言う意味ですか?」
思わずカチンときて眉間に皺が寄った。
な、なんなのこの男。
顔がいいとしても、ほんと性格悪すぎでしょ。