恋の訪れ
「そー言う意味」
「失礼にもほどがありすぎます。だいたい先輩、性格悪いですよ。直したほうがいいと思います」
「はいはい。お前は頭を直せよ」
「ほんと失礼。ってか、いいませんでしたっけ?あたしお前じゃなくて“莉音”って名前があるんです」
「知ってる」
「だったらそー呼んでくれません?」
「…合格したらな」
「え?今、なんて言いました?」
まさか先輩の口からそんな言葉が出るなんて思ってなかったから、つい目を見開いてしまった。
「つか、やれよ。俺もわざわざ時間削ってまでお前に教えてんだから」
「あー、はい」
だったら本気で頑張ろうと思った。
なんでか知んないけど、昴先輩に名前で呼んでほしいがために…
ぶっちゃけ、英語なんてどうでも良かった。
どっちかって言うと、昴先輩に名前で呼んでほしかった。
馬鹿にされたこの男にあたしの名前を呼ばせようと思った。
その日の夜、あたしはベッドに寝転んだまま、携帯を耳にし、
「あ、香澄先輩?」
昴先輩の事を聞こうと思った。