恋の訪れ
「うーん…って言うか、あたし昴に興味ないから特別な事は何も知らないんだけど」
「そう…ですか」
「って言うかさ、莉音。その昴に英語教えてもらってるんでしょ?」
クスクス笑う声が電話口から聞こえる。
「何で知ってるの?」
「真理子が言ってたから」
「また真理子か…」
真理子、おしゃべりなんだから。
いちいち言わなくていいよ。
「で、どうなの?順調?」
「どうもこうもないですよ、昴先輩偉そうなんだから」
「へー…」
「元はと言えば、香澄先輩があの人達を誘ったから。そうじゃなかったら赤の他人だったのに…」
「ちょっと莉音。あたしを悪者みたいに言わないでよ。あたしはただ、誘ってほしいって言われたから誘っただけでしょ?ほら、ユミにね!」
あー、そうだった。
本当の始まりはそこからなんだから!
「ねー、香澄先輩が教えて下さいよ、英語」
「嫌よ。あたしそんな暇ないわよ。莉音が頑張ったらイチゴケーキ奢ってあげるから」
「えっ!?ほんとに?」
「うんうん、だから頑張ってね。じゃーね、あたしバイトだから」
「うん頑張る」
そう言って、切ったものの、結局なんの為に電話をしたのか自分でも分かんなかった。
でも、ただ一つだけ。
昴先輩には気になる人が居るって事。