恋の訪れ

「…ただいま」


家に帰って、すぐにリビングのソファーに倒れ込む。


「莉音、どうしたの?」


その姿に気付いたママは心配そうな声であたしの顔を覗き込んだ。


「うーん…ちょっと頭痛い」

「大丈夫なの?」

「-―…珍しく勉強に没頭してるからでしょ!」


割り込んで入って来たお姉ちゃんの言葉にまた頭が痛くなりそうだった。


「お姉ちゃん、うるさい」

「だから、ほどほどにしろって言ったでしょ」

「だからうるさいって!」


お姉ちゃんに言われたくない。

昴先輩とニコニコ話してたじゃん。


「もー、二人ともやめなさい。莉音、明日病院に行ってきたら?」

「うん…」

「あまり無理しちゃダメ。分かってるでしょ?」

「うん」


分かってる、そんな事。

分かってるよ、そんな事。


でも、無理もする事もあるし、我慢できない事だって沢山ある。


そんな簡単に何もかもいかないよ…
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