恋の訪れ

「…行ってきます」


次の朝、あたしは学校に行く前に病院へと向かう。。

でも何故か右隣にはお姉ちゃんが居て。


「なんでお姉ちゃんも?」

「ママに言われたから。病院まで着いて行ってあげてねって」

「そこまで子供じゃないし」

「ママ、過保護だから心配なんでしょ?途中で倒れたらって思ってんでしょ?」

「倒れないし」

「もしも!でしょ?」


はぁ…とため息をついたお姉ちゃんは携帯を取り操作し始める。

お姉ちゃんはあたしの事、いったい何処まで知ってるんだろうか。


「ねぇ、お姉ちゃん…」

「うん?」


携帯に視線を向けたまま、お姉ちゃんは小さく言葉を返す。


「あたしの耳っていつから?」

「え?」

「こうなったのいつからかなー…って」

「幼少期でしょ?」

「幼少期?生まれつきじゃなくて?」

「え、分かんない。そこまでハッキリ知らないわよ。でも莉音の場合は治療すれば治るって言われてるんだし」

「治療しても完全じゃないでしょ?」

「さぁ、分かんないけど。でも普通の生活に支障ないじゃん。ちょっと無理するとあれだけど…」

「うん」

「なんで?」


携帯を鞄の中に突っ込んだお姉ちゃんは、物凄く不思議そうにあたしを見つめる。


「え?」

「なんで今更聞くのかなって、」

「今更って言うか、ずっと思ってたよ。最近、調子悪いし…」


色んな事で。

色んな事がありすぎて最近おかしい。


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