恋の訪れ
「だから無理するなって」
「分かってるよ、そんな事。ママには言えないからお姉ちゃんに言っただけじゃん」
吐き捨てる様に、お姉ちゃんを避けて目の前の病院まで走ってしまった。
ただ、なんか最近自棄にムカツク。
自分にでも分かるくらいに苛々する。
なんでかな。
なんでだろう。
「…新田さん。新田莉音さん」
暫くして、看護師さんの声が聞こえた。
「はい」
「どうぞ」
診察室に通されたあたしは先生の前に腰を下ろす。
「最近調子はどう?」
「頭と耳が痛くて…」
「耳鳴りは?」
「時々」
「どういった時に起こってる?」
「寝不足…とか、疲れたりとか…」
「なんかストレス溜めてない?」
「ストレス…ですか、」
最近、思い当たる節はあるけれど、どれがストレスなのかも分からない。
色んな事に頭がパンクしそう。
ただ、一番なのがヒロくんに言われたショックなのかも知れない。
「偏頭痛とかなりやすい傾向があるからストレス溜めちゃうとよくないよ。あと、肩コリ」
「肩コリ…ですか。いや、あたし肩こらないんですけど」
「ほら、ここね」
「いたっ、」
先生が立ち上がって、あたしの肩と首筋を抑える。
ジン…と物凄い痛みが走った。