もし、君に。好きと言えたのなら。
突如聞こえた幼なじみの彼の声。


「待ってるから。早く来なよ。」


『ありがと。今出るね!!』


出れるならさっさと出てこいや、というのが彼女の本音らしいが、彼は気づかない。


ガチャッ


騒がしい音が聞こえ、目の前のドアが開く。



対して距離もないというのに、もう息切れしている彼はどれだけ急いで支度したのだろう。ぼんやりとそう思う。


「蒼空、ごめん!!遅れちゃって。」


「…七瀬、ネクタイ、曲がってるよ。どれだけ急いで支度したの。」


< 6 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop