花簪 ーはなかんざしー
背中の微熱
…シャキン
眉に触れるか触れないかの絶妙なラインが、繊細な指から生まれる。
心地良い、緊張感。
「… よし」
満足げに呟いて、貴方は必ずこう言う。
「世界で一番、可愛いよ。」
それから両肩に手を置いて
「僕の、お姫様。」
後ろから抱きしめるように言う。
愛おしげに発するその言葉が、魔法使いの最後の仕上げ。
これで私は
世界一の、お姫様になれる。
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