花簪 ーはなかんざしー


「牧さん…」


振り返ると、牧さんは静かに彼を見つめていた。


「お待たせして、申し訳ありません」

「…あんたに関係ねーよ、引っ込んでろ」

「すみません、ちょっと忘れ物が…」


両肩に、そっと牧さんの手が乗る。


「栞ちゃん、…ジッとしててね」


耳の横で、何かが揺れた。




… かんざし?


< 6 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop