かわいい王子VS鈍感な姫
「とりあえず、自分のことも『郁』じゃなくて『あたし』にするし、ななちゃんのことも『七海くん』って呼ぶ!」


まずはそこからなんだな。


って、七海くん…!?


「い…郁、『くん』はやめて…。なんか、郁に言われるのはちょっと変な感じするし。」


「んーわかった!じゃあ、『七海』にする。郁は大人になるよ!」


…あれ?


「郁さぁ、『あたし』にするんじゃなかったっけ?」


「そうだよ?」


郁は真顔で言った。


「今…思いっきり『郁』って言ったよな?」


「………あっ…。」


気付くの遅っ!


「ぷっ…!あははっ!さすが郁だな!さっき宣言したばっかなのにもうできてないし…!…ははっ!」


俺はお腹を抱えて笑ってしまった。


郁は顔がどんどん赤くなっている。


「そんなに笑うことないでしょ~!まだ始めたばかりなんだもん…!」


「ごめんごめん!郁らしいなって思って。でも、急いで今の自分を変えることはないと思うぜ?今はせいぜい一人称を変えるくらいだけでいいんじゃない?」


無理に変えても…ストレスたまっちゃうだけだろ?


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