かわいい王子VS鈍感な姫
俺はなんとなくわかるけど、良平にはあまり理解できないらしい。


「つまり、雫は安心して涙が出た。そうだよな?」


「うん。みんな…こけちゃってごめん!」


雫は話し始めた。


「こけた時いっぱい抜かされちゃって、もう無理かもって一瞬あきらめた。でも今まで練習してきたことが、あたしのせいで水の泡にしたくはなかったの。ちょっとでも可能性があるならって…そう思っているうちに体が勝手に走ってた。…」


そうだったんだ…。


「…七海くんに言われて良平くんを見た時、正直夢かと思った。最下位だったはずなのに、良平くんの後ろに何人かいて…。…3位って聞いた途端、今まで不安で仕方なかったからいっきに不安が飛んでっちゃって…自然に涙が出た。…良平くん、ありがとう…!」


話がわかった様子の良平は言った。


「いえいえ♪…こっちこそありがとな!」


「「「へ?」」」


俺たち6人はなんで良平が「ありがとう」と言うのか意味がわからなかった。


「なんで?」


そう聞いても「秘密!」と返ってくるだけ。


俺が意味を知るのは数時間後のこと…。


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