かわいい王子VS鈍感な姫
「たぶん何かやらかすよ。郁は運動系、長距離しかダメだからハードルとかは…な?良平?」


「そうだろうな。…あっ、郁ちゃん走るぞ!」


スタートラインの方を見ると、郁がちょうどスタートしたところだった。


なわとびを跳びながら走る…なのに、1回1回段差を乗り越えているかのようにゆっくりと、そしてぎこちない。


…ぷっ!


…かわいい…!


ラケットの上にピンポン玉をおいて走る…はずだが、郁は歩いている。


しかし、ピンポン玉を落としてしまっている。


おいおい!!


「…あはは!!…なんで歩いてんのに落とす…?…やばい!七海の言う通り郁ちゃんおもしろい!」


「だろ?でも郁自身はかなり真剣だから、本人の前では笑うなよ?」


笑ったら絶対怒られる。


あんまり怖くないけどな。


そして、郁は平均台を終えハードルを1つ倒し…ついにゴール!


順位は…言うまでもなく最下位だ。


点数を箱に入れ終えた郁がゴール付近できょろきょろしている。


仕方ないなぁ…。


「郁!」


俺は郁を呼んだ。


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